工業用洗浄液として主流となっている炭化水素系洗浄溶剤に対し、以前のフロン洗浄と同様に洗浄性に優れた溶剤としてフッ素系洗浄溶剤があります。
このフッ素系洗浄溶剤(Fluorine-based cleaning solvent)は、現在、精密洗浄等において広く使用されている洗浄剤です。
以下にその特徴とメリット、デメリット、使用分野を簡単にまとめて紹介します。
★フッ素系洗浄溶剤の特徴とメリット
・不燃性:フッ素系洗浄溶剤は不燃性であり、安全性が高いです。
・速乾性:乾燥が速く、洗浄後の処理が迅速に行えます。
・浸透性:表面張力が小さく、微細な隙間にも浸透しやすいです。
・環境への影響:毒性が低く、環境にやさしいとされています。
・再生可能:蒸留再生が可能で、洗浄剤をリサイクルして使用できます。
★フッ素系洗浄溶剤のデメリット
・高コスト:洗浄剤の価格が高く、ランニングコストも大きいです。
・揮発性:揮発性が高いため、洗浄剤の消費が多くなります。
・無機物汚れに弱い:有機物の洗浄には強いですが、無機物の汚れには効果が低いです。
★フッ素系洗浄溶剤の使用分野
・カメラモジュール部品
・自動車部品、モーター部品、ベアリング
・航空機関連部品
・光学レンズ
・半導体製造装置部品
・電気、電子部品
・医療用品(注射針、中空糸、カテーテル等)
以上のように、炭化水素系洗浄溶剤と比較し、(有機物に対する)洗浄性が優れている等様々なメリットを有している反面、洗浄剤が高価格であることが、最大のデメリットであり、洗浄液の回収率を上げ、ランニングコストを下げることが 現時点、大きな課題となっています。
逆に言えば、このデメリットを克服できれば、(つまり、洗浄液の回収率などを改善できれば)大きな市場が広がる分野となります。
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