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shigeokumata

設備のFMEA

更新日:2023年7月8日

設備のFMEAという場合には、2つの意味合いのFMEAがある。

一つは設備を設計する場合のFMEA(製品設計でいう設計FMEA(DFMEA))、もう一つは設備製作に対するFMEA(製品製造でいう工程FMEA(PFMEA))です。 今回は後者の設備製作におけるFMEAについて述べる。

(従って、設備を使う側の立場を意識したものというよりは、設備を作る側の不具合を強く意識したものとなっている、但し、影響度合いの検討では当然使う側つまりエンドユーザーへの影響を検討する必要がある。)


PFMEAと同様、各STEP毎にコメントすると・・


①工程抽出  工程抽出とは、製品のPFMEA分析を行う際と同様、工程順序、作業内容等を記載する部分に工程名・工程詳細・作業内容を記述することです。製品製造の工程は比較的標準化された工程を扱うのに対し、設備製造は、非常に長い工程を扱い、バリエーションも多いことから、全工程を詳細に検討するのは実質不可能であるため、基本作業毎に行うのが現実的であり、そのため、対象となる設備分野に応じた各社独自の基本作業を持つ工程が抽出されるべきです。例えば、ベアリング圧入、オイルシール圧入、リベット鉸め、TIG溶接等、より一般化した工程に対し、FMEAを進める形でスタートし(一般解抽出)、その後各社独自の要素作業を付加して詳細検討を行うような形にしていく(特殊解抽出)ことが望まれます。


②故障モード設定

 抽出された工程ごとに想定される作業上の不具合モードを洗い出す作業が、故障モード設定です。設備組立て工程での事例をあげると、一般的には、故障モードとして 異品・異材組付け、欠品、逆組み、位置ずれ、2重組み、異物混入、過剰・過少組立、作業忘れ、・・・等々があげられます。FMEA分析の対象はヒューマンエラー対策のウェイトが高いため、工程ごとの要素作業から予想される不具合モードをできるだけ詳細に、正確に洗い出すことが重要です。


③影響度合い評価

 工程ごとに設定された故障モードに対し、その影響度合いを評価する作業が、影響度合い評価です。影響度合いは 各故障モードが後々、後工程、納入先、市場等でどのような形で影響するかを点数で表し評価するものです。(一般的には10点法)


④発生度合い評価

 工程ごとに設定された故障モードに対し、その発生度合いを評価する作業が、発生度合い評価です。発生度合いは 各故障モードが対象工程でどのような頻度で発生するかを点数で表し評価するものです。(一般的には10点法)


⑤検出度合い評価

 工程ごとに設定された故障モードに対し、その検出度合いを評価する作業が、検出度合い評価です。検出度合いは 各故障モードが自工程、後工程でどのような形(容易さ)で検出できるかを点数で表し評価するものです。(一般的には、影響・発生・検出とも同一の10点法とします。)


⑥重要度評価と対策

工程ごとに設定された故障モードに対する各評価点をもとにその重要度評価を行う作業が、重要度(危険優先指数)評価となります。重要度は 各工程の影響・発生・検出の評価点をすべて掛け合わせた点数で表し評価するものですが、この重要度の評価点数の対策を実行するための基準付けは、10点法では、100点~300点程度となります。


設備のFMEA(設備製作のFMEA)は、上記のように通常の生産品のPFMEAと同様のやり方が必要となりますが、影響・発生・検出の評価点基準については各社の実状に応じた設定が必要になります。 又、故障モード等を抜けなく、設定していくためには、チームとして実施すべき内容です。(チームとは この場合、設備設計部署、設備製作部署、設備検査部署、営業等、クロスファンクショナルなチーム(横断チーム;Cross Functional Team)を指します。)

以上のことを踏まえ、設備のFMEAを支援し、定着化を進めることが コンサルティング対象となります。








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