現在、当生産技術コンサルティングにおいて、複合加工機を専門で扱う企業とのお付き合いがありますので、機械加工分野の複合加工(multitasking)について若干コメントすることにしました。
(記事の大半は、複合加工機の専門メーカである中村留精密工業株式会社のHPから引用しています。)
一般に、機械加工によって製作される部品は、数種類の工作機械を使用して作られています。複合加工機とは、この数種類の工作機械を使用せずに、1台の機械ですべての加工を行う事を目的として設計された機械であり、工作機械の長い歴史の中で工程集約を目指し続け、たどり着いた先のものがこの複合加工機です。
複合加工機とは、工具の自動交換機能(タレット形を含む。)を備え,工作物の段取り替えなしに、フライス削り、旋削、研削などの多種類の加工のできる数値制御工作機械のことです。機械としての最も大きな特徴は、複合加工機一台で複数工程の加工を終わらせることができる点です。多くの場合、一つの部品を素材から完成品にまで仕上げるには、旋盤とマシニングセンタなど、最低2つの工作機械を用意する必要がありましたが、複合加工機はそれらすべての工程を一台で済ませることができます。
複合加工機には大きく3つのメリットがあります。(以下)
①工程集約・人件費の削減
複合加工機を使用しない場合、素材から完成品を作るには何台かの機械を使って加工する必要があり、そのたびに、素材の取付、取り外し、運搬などの作業を作業者が行う必要がありました。複合加工機では、それらすべてを一台で行うため、作業者による素材の着脱作業や工程間の素材移動がなく、素材を一度セットすれば完成品に仕上がるため、作業者への負担を軽減できます。
②省スペース
工程に合わせた工作機械をいくつも持つ必要がなくなるので、機械台数を減らすことができ、工場のスペースを有効活用することができます。したがって、工場全体としての生産能力を上げることができます。
③高品質
加工精度の面では、取付、取り外しの回数が多くなればなるほど精度が劣化するといわれており、取付の際の位置決めが重要であり、加工品が工程間を移動する事は加工精度を低下させる要因にもなります。これまでは工程ごとに素材の取付・取外しを行う必要があり、わずかなズレが発生する可能性がありましたが、複合加工機一台で加工を行うことで、加工精度低下の原因となる取付・取外しの工程を省くことができ、完成品の精度を均一に保つことができます。
以上、今回は、複合加工機のメリットを中心に取り上げて説明しましたが、中小企業としては、設備投資費用の課題や、複合加工機を取り扱う上での技術員、作業員の教育訓練、熟練度向上等の課題があることも事実です。上記のように、多くのメリットのある複合加工機導入が現実のものとなる様、支援ができればと考えております。
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